キエフバレエの今(大使のメッセージ)

平成30年5月14日
  キエフバレエは日本に於いてもボリショイ、マリインスキーと並ぶ旧ソ連邦の三大バレエの一つとして有名で、近年は毎年のように日本に於いて公演が行われていることは喜ばしい限りです。他方、日本に於いて公演されているのは「白鳥の湖」、「くるみ割り人形」、「ドン・キホーテ」といった定番が多く、毎年キエフに於いて新しいバレエの傑作が生まれていることが知られていないことは残念に思っております。例えば、一昨年に「雪の女王」という新しい作品は生まれましたが、これは有名なアンデルセンの話を基にチャイコフスキー、ルビンシュタインと言った作曲家の曲を編成しアニコ・レフヴィアシヴィリさん(コレオグラファー)と、オレクシイ・バクラン(指揮者)が生み出した傑作です。このバレエは古典の要素、すなわちプリマバレリーナによるグラン・パ・ド・ドゥやバレエブランシェと言った伝統を踏まえつつも、盗賊団による群衆の踊りを始めとし、最初から最後まで息も着かせぬ、スピード感のあるバレエに仕上がっています。愛とが希望がテーマであり家族そろって楽しめる内容であると思います。ちなみに、私はすでに家内と共にすでに4回このバレエを鑑賞し、何回見ても素晴らしいものだと感じています。また、キエフバレエというと、フィリピエワさんが有名ですが、若いダンサーが育っていることも事実です。日本に於いてはニキタ・スホルークフさん、アンナ・ムロムツオワさんが知られてきましたが、その他にも多くの若手が育っているのも事実です。今年はこれまで日本のバレエにゲスト出演していたオレクシイ・ポチョムキンがリヴィヴのオペラ座からキエフに移籍したことも楽しみです。特にキエフバレエのプリンシパルダンサーは回転においては、回転軸がずれず、ジャンプを行う時は正確な着地ができるといったバレエ通を喜ばせる技能を持っていると思います。

  6月には2年ぶりの新作バレエとして「ジュリアス・シーザー」の上演が予定されており、私と家内とで楽しみにしているところです。また、キエフの国立バレエ学校はこれまでもセラファーノフ、マトヴィエンコ、マラーホフと言った世界的な大スターを生んできましたが、今年は卒業生を中心とするコッペリアが上演され、大スターのマラーホフさんが特別出演するなど観客を喜ばせました。国立バレエ学校の芸術監督として寺田宜弘さんが主任してることはご存知の通りです。

  私が特に希望するのはこのようなキエフのバレエの新たに生まれてるバレエに着いても日本のファンに知って頂きたいです。