倉井大使メッセージ:チェルノブイリ原子力発電所の事故から35年の日に寄せて

令和3年4月26日
  チェルノブイリ原子力発電所の事故から35年の日に際し、我が身を省みず立ち向かわれたウクライナ人事故処理士の方々、そして同事故の犠牲になられた全ての方々に対し、改めて哀悼の意を表するとともに、今日もなお事故後の原発の安全や被災地の復興に携わっておられる方々に対し改めて敬意を表します。
 1986年の事故発生後、日本は事故の被災者の方々の健康のための医薬品・医療機器の供与、専門家の派遣等を通じ、被災地の復興を一貫して支援して参りました。これに対し、2011年の福島第一原子力発電所の事故後は、今度はウクライナの方々からも貴重な協力を頂き、科学的見地からの協力のほか、原発事故後協力協定の下で、両国の原発事故の経験共有をはじめとする具体的な研究協力が行われてきました。
 原子力事故による被害を受けた地域の安全と復興は我々両国にとって依然として大きな共通の課題です。わが国はウクライナ政府がチェルノブイリ立入禁止区域の再編や環境保護区としての活用に努力されていることを高く評価し、同地域の再生を心から願いつつ、これまで5年以上にわたりウクライナ政府とともに立入禁止区域の環境管理に関する共同研究を実施してまいりました。また、新たなシェルターが一昨年に完成しましたが、これはウクライナにおける今後の原子力安全のために大きな意味を持つものであり、同建設に主要拠出国として関与した国の一つとして、我々としても感慨深いものがあります。
 今後とも、チェルノブイリと福島の経験を共有する両国の連携がチェルノブイリ原発の被災地の復興に資することを心から期待するとともに、両国並びに両国民の協力が、二度と原発事故の繰り返されない世界の構築に貢献できることを願っています。