狂犬病~見知らぬ動物には手を出さないように~ (ウクライナでは狂犬病ワクチン接種が困難です。)
平成28年6月9日
1.狂犬病の発生状況
狂犬病は日本、英国,ニュージーランドなどの一部の国を除いて全世界に分布しており,ほとんどの国で感染する可能性があります。毎年、世界中で55,000人以上の人が狂犬病感染で死亡しているといわれています。特にアジアを中心とした地域で多く発生していますが、北米、欧州の一部地域でも感染のおそれがあります。世界各国における狂犬病の発生状況として、狂犬病による死亡例が最も多いのはインドで約20,000人(2008年)であり、パキスタンでは2,490人(2006年)、中国では2,466人(2008年)の感染死亡例が発生しています。
ここ、ウクライナでは4人(2014年)、6人(2011年)、1人(2009年)のヒト発症例が報告されており狂犬病汚染国の1つです。
2.狂犬病について
(1)感染源
狂犬病は、日本では撲滅された過去の感染症ですが、世界では、いまだ、感染者が出ています。狂「犬」病という名称ですが、犬に限らず、猫やイタチ等他の哺乳動物(北米ではアライグマ、スカンク、コウモリ、欧州ではキツネ、アフリカではジャッカルやマングース、その他牛や馬など)からも感染することがあります。狂犬病に感染したほ乳類の唾液中にウイルスが存在しますので、主に動物に咬まれることで、その傷口からウイルスがヒトの体内に侵入します。
(2)症状
人の場合、潜伏期間は一般に1か月~3か月で、長い場合は1年~2年後に発症した事例もあります。発症した場合はほぼ100%死亡します。症状は発熱、頭痛、嘔吐などに始まり、次いで筋肉の緊張、けいれん、幻覚が現れます。水を飲むとのどがけいれんをおこし(恐水症)、冷たい風でも同様にけいれんをおこします(恐風症)。 犬の遠吠えのようなうなり声をあげ、よだれを大量に流し、昏睡、呼吸麻痺が起き、死に至ります。
(3)予防方法
(イ)動物にむやみに手を出さない。
日本人は犬や猫を見ると無防備に手を出したり、撫でたり、手から直接餌を与えたりしますが、むやみに犬や猫、その他の動物に手を出さないようにしてください。他人のペットであっても要注意です。
(ロ) 具合の悪そうな動物には近づかない。
狂犬病の犬は、多量のよだれを垂らし、物に咬みつく、無意味にうろうろするなど独特の行動をします。
(ハ)予防接種(暴露前接種)
狂犬病ワクチンは日本国内の医療機関で接種することが可能ですが、現在、狂犬病 ワクチンの在庫が減少している状況に鑑み、狂犬病の流行地域からの帰国者で犬等に咬まれた方、狂犬病の流行地域への渡航予定者で犬等に接触する可能性が高い方に優先的に接種されています。
渡航、滞在先で動物を対象に活動する場合や居住予定地域付近に医療機関がない場合には、日本の検疫所ホームページに掲載されている予防接種可能な医療機関に御相談ください。
http://www.forth.go.jp/moreinfo/vaccination05.html
狂犬病ワクチンを接種する場合は、初回接種後、30日目、6~12か月後の計3回接種します。
(4)万一動物等に咬まれた場合の対策
狂犬病にかかっているおそれのある動物に咬まれてしまった場合、直ちに十分に石けんを使って水洗いをします(傷口を口で吸い出したりしない)。その後、すぐに医療機関で傷口を治療し、通常はワクチン接種をします。ただし、現在ウクライナの医療機関では狂犬病ワクチンの供給が滞り、よほどのことがない限り狂犬病のワクチン接種は受けられず破傷風トキソイドの接種のみのようです。ご参考までにWHOの定めた狂犬病ワクチン接種基準をお示しします。
ワクチン接種が必要かどうかの目安(WHO基準)
現在WHO推奨の接種スケジュールには、咬まれた日を0日として、
0,3,7,14,28日の計5回(Essen法)
0日に2倍量のワクチンを接種して7,21日の計3回(Zagreb法)があります。
3.結論
地続きの国であるウクライナは、ほ乳類に関する狂犬病感染をゼロにすることは事実上不可能です。キエフ市内では狂犬病のヒト発症はないようですが、可能性がゼロとは断言できません。また、ウクライナ国内での狂犬病ワクチン接種が困難である現状を考慮いたしますと、たとえ飼われている動物(犬、猫などほ乳類全般)にはむやみに近づかないようお願いいたします。
狂犬病は日本、英国,ニュージーランドなどの一部の国を除いて全世界に分布しており,ほとんどの国で感染する可能性があります。毎年、世界中で55,000人以上の人が狂犬病感染で死亡しているといわれています。特にアジアを中心とした地域で多く発生していますが、北米、欧州の一部地域でも感染のおそれがあります。世界各国における狂犬病の発生状況として、狂犬病による死亡例が最も多いのはインドで約20,000人(2008年)であり、パキスタンでは2,490人(2006年)、中国では2,466人(2008年)の感染死亡例が発生しています。
ここ、ウクライナでは4人(2014年)、6人(2011年)、1人(2009年)のヒト発症例が報告されており狂犬病汚染国の1つです。
2.狂犬病について
(1)感染源
狂犬病は、日本では撲滅された過去の感染症ですが、世界では、いまだ、感染者が出ています。狂「犬」病という名称ですが、犬に限らず、猫やイタチ等他の哺乳動物(北米ではアライグマ、スカンク、コウモリ、欧州ではキツネ、アフリカではジャッカルやマングース、その他牛や馬など)からも感染することがあります。狂犬病に感染したほ乳類の唾液中にウイルスが存在しますので、主に動物に咬まれることで、その傷口からウイルスがヒトの体内に侵入します。
(2)症状
人の場合、潜伏期間は一般に1か月~3か月で、長い場合は1年~2年後に発症した事例もあります。発症した場合はほぼ100%死亡します。症状は発熱、頭痛、嘔吐などに始まり、次いで筋肉の緊張、けいれん、幻覚が現れます。水を飲むとのどがけいれんをおこし(恐水症)、冷たい風でも同様にけいれんをおこします(恐風症)。 犬の遠吠えのようなうなり声をあげ、よだれを大量に流し、昏睡、呼吸麻痺が起き、死に至ります。
(3)予防方法
(イ)動物にむやみに手を出さない。
日本人は犬や猫を見ると無防備に手を出したり、撫でたり、手から直接餌を与えたりしますが、むやみに犬や猫、その他の動物に手を出さないようにしてください。他人のペットであっても要注意です。
(ロ) 具合の悪そうな動物には近づかない。
狂犬病の犬は、多量のよだれを垂らし、物に咬みつく、無意味にうろうろするなど独特の行動をします。
(ハ)予防接種(暴露前接種)
狂犬病ワクチンは日本国内の医療機関で接種することが可能ですが、現在、狂犬病 ワクチンの在庫が減少している状況に鑑み、狂犬病の流行地域からの帰国者で犬等に咬まれた方、狂犬病の流行地域への渡航予定者で犬等に接触する可能性が高い方に優先的に接種されています。
渡航、滞在先で動物を対象に活動する場合や居住予定地域付近に医療機関がない場合には、日本の検疫所ホームページに掲載されている予防接種可能な医療機関に御相談ください。
http://www.forth.go.jp/moreinfo/vaccination05.html
狂犬病ワクチンを接種する場合は、初回接種後、30日目、6~12か月後の計3回接種します。
(4)万一動物等に咬まれた場合の対策
狂犬病にかかっているおそれのある動物に咬まれてしまった場合、直ちに十分に石けんを使って水洗いをします(傷口を口で吸い出したりしない)。その後、すぐに医療機関で傷口を治療し、通常はワクチン接種をします。ただし、現在ウクライナの医療機関では狂犬病ワクチンの供給が滞り、よほどのことがない限り狂犬病のワクチン接種は受けられず破傷風トキソイドの接種のみのようです。ご参考までにWHOの定めた狂犬病ワクチン接種基準をお示しします。
ワクチン接種が必要かどうかの目安(WHO基準)
狂犬病の疑いのある動物との接触状況 |
処置方法 |
触れたり、餌を与えた。 傷のない皮膚をなめられた。 |
処置の必要なし。 |
直接皮膚をかじられた。 出血を伴わない引っ掻き傷やすり傷。 傷のある皮膚をなめられた。 |
ワクチン接種スケジュールを開始する。 |
1カ所以上の咬傷や引っ掻き傷 粘膜をなめられた。 |
*狂犬病ガンマグロブリンとワクチン接種スケジュールを開始する。 |
現在WHO推奨の接種スケジュールには、咬まれた日を0日として、
0,3,7,14,28日の計5回(Essen法)
0日に2倍量のワクチンを接種して7,21日の計3回(Zagreb法)があります。
3.結論
地続きの国であるウクライナは、ほ乳類に関する狂犬病感染をゼロにすることは事実上不可能です。キエフ市内では狂犬病のヒト発症はないようですが、可能性がゼロとは断言できません。また、ウクライナ国内での狂犬病ワクチン接種が困難である現状を考慮いたしますと、たとえ飼われている動物(犬、猫などほ乳類全般)にはむやみに近づかないようお願いいたします。